私はHSP(highly sensitive person)です。そのことに気づいたのは10年くらい前で、テッド・ゼフ著『繊細で生きにくいあなたへ』という本との出会いがきっかけでした。しかし、「私は繊細で」なんて口幅ったくて言えません!しかし、最近、「繊細さん」という言葉が市民権を得てきました。
HSPとは、感じやすいために疲れやすい人で5人に1人といわれています。その私にとって、日本舞踊という趣味はピッタリはまり、これまで元気に生きることができました。ある意味、HSPにとって日本の伝統芸能はあってるんじゃないかな?と思うくらいです。
20代のときに出会った鍼灸師の先生に、「身体が変わると、生き方も変わるよ」と言われたことがあります。今日は、「身体を整える」ということについて書いてみます。
自分で自分の身体を整える「整体」
若いときから「不定愁訴」(何となく調子悪いときが多い)を抱えていました。ですので、「心身を整える」ことになみなみならぬ関心をもっていました。鍼灸もそうですが、20代から健康オタクだったのです。
健康オタク。ネットが発達した今なら、「そんなの珍しくないですよ」と言われそうですが、30年くらい前は“変わった人”だったと思います。生きるのがちょっと苦しくて、いろいろな健康法にハマってみた結果、最終的にたどり着いたのは、私の場合、身体面では野口整体、心の面では内観法でした。
今や巷に古今東西たくさんの健康法があふれる現代社会ですが、私に合っていたのは、どちらも日本が発祥のものだったんです。野口整体は、大正~昭和に生きた野口晴哉さんが生み出したもの、内観法は、主に昭和の時代に活躍された吉本伊信さんが創始者です 。
野口整体の整体とは、今世の中にある、押したりもんだりボキボキやったりする整体とは違い、「自分で自分の身体を整える」という意味です。人間の身体というのは一つの自然界で、その自然界はいきいきとその人らしく生きていくようにできているのだから、余計なことをしたりやったりせずに、いきいきと生きる方向にもっていけばいい、という考え方です 。
そのためには、自分はどういう人間かというのを知ることが大事で、実はこれがいちばん難しいから、あっちこっちに頭をぶつけながら生きているのかもしれません。
「弱い身体」でなく「良い身体」という発想の転換
古今東西の心身を整える方法というのは、別に私が傾倒する野口整体でなくても、だいたい原理が似ているなぁと思うところがあります。(本を読んだり試行錯誤したりの私の狭い経験ではありますが)
その一番の特徴は、身体(自然)への信頼というものでしょうか。
医療は、病気になったら薬や治療で治すという考え方ですが、整体では、身体が自分の力で治るという考え方ですね。治療は、それを助けるものでなければならない。(治療が先にあると、逆に身体を弱めてしまう)。
病気でさえ、自分の身体がよりよく生きていくための過程なんだという病気観なので、なかなか承服されがたい考え方かもしれません。
野口晴哉さんには、『風邪の効用』というベストセラー(ちくま文庫)があるのですが、そこでは、風邪や下痢になって自然に経過させていくと、身体の歪みがとれてスッキリした身体になる。そのためにどう風邪を経過させていくか、お風呂の入り方や水の飲み方、熱が下がったときにこそ安静にする、といったようなことが書かれています。
実は、かのナイチンゲールもこう言っています。
病は回復過程である
『看護覚え書き』
私がこの考え方を「なるほど」と思ったのは、若いときからのさまざまな不定愁訴が、身体が弱いせいだと思っていましたが、実は良い身体なんだと価値観がひっくり返ったからです。
不調は、さまざまな外部のストレスに対し、身体の適応や対応した結果起こるのだから、調整が終わるまで待っていればいい。薬などは飲まずに、つらいけど何とか経過させれば、身体が良くしてくれるのです。
それが分かると、つらい症状も少し軽減していくから不思議です。
身体は常に動いているそうです。女性の月経が分かりやすいですが、1カ月の間に低調期と高調期があります。それだけでなく、 1日のうちで、朝昼晩で動いている。1週間の7日のうちでも動いている。1年も春夏秋冬で身体が変わる。そして一生のなかでも、年齢を重ねることによる変化があります。
変わるのは、主に背骨を中心に、骨盤や頭蓋骨が微妙に開いたり閉じたりしているようなのですね。
身体の中のさまざまなシステムが、微妙に変化して外部のストレスに対応してくれている。不定愁訴は、そのことを感じすぎてしまうがために起こる。私は感じすぎてしまう人間なのか、と何十年もかけてようやく自分を知ることができました。
とはいっても、自分の身体そのものが変わってしまうわけではありません。知ったことによってホッとしつつも、つらい不調が全くなくなってしまうわけではないのです。でも、この心のありようの変化がきっと大事なのですね。
日記に書くことで自分の治るパターンが分かる
病気になれば不安も大きいものです。そこで、風邪とかケガとか、命に別状がないような小さな病気で自分がどのように悪くなってから良くなっていくかの経過を観察しています。そうすると、自分の治るパターンが分かってきます。
そのために活用しているのが、日記です。手帳でも日記でもよいので、体調について記しておきます。(「ほぼ日手帳」を使っています)
そうすると、悪くなるときはガーッと悪くなるが、悪くなりきると今度は良くなる、その潮目が分かってきます。そこから薄皮を剥ぐように良くなるのですが、その期間は意外と長いものです。元通りに完治するのに、私の場合は何週間というのがだいたい分かってきます。
痛かったり気持ちが悪かったとしても、「あぁこれは、私にとって今この段階にあるのだ」と分かるので、落ち着いて回復を待つようになれるのです。悪くなるときの痛みと良くなるときの痛みには、違いがあるんです。
野口整体には、その経過していく過程を助けるいくつかの方法があります。例えば、足湯や肘湯をするとか、水の飲み方とか。春のはじめや梅雨どきなど、季節の変わり目は特に身体が変わるので、いくつかのやっておくべき“整えテク”があります。
自分の主治医は自分、なのですね。で、どうしてもダメなときこそ、医師や心理療法家など専門家の意見を聞きに行けばいい、と思っています。
最後までお読みいただきありがとうございます。
日本舞踊やってみたい!と思われた方は、ぜひ無料体験レッスンにお越しください。