朝の瞑想のススメ

緊急事態宣言は、私の場合、前回よりも今回の方が、心にこたえます。天気の悪い日はとくによくありません。

そこで、昔から「やりたい、やりたい」と思いながらできなかった「朝の瞑想」に、取り組んでみることにしました。まだ1カ月たちませんが、その効果を実感しましたので、今日はそのことについて書いてみます。

瞑想とは?

私達日本人にとって瞑想はとても身近です。座禅を組む仏像は、まさに瞑想状態の美しい姿を表現したもの。仏教の修行というイメージがありますが、海外で、メディテーションとかマインドフルネスという言葉で心理的な効果が高く評価され、今や逆輸入されて誰でも取り組めるものとして広がりつつあります。

その効果は、心が落ち着く、物事に集中して取り組める、パッと正しい判断ができる、仕事のパフォーマンスが上がるなどなど。

鎌倉の大仏さまの美しい瞑想姿

私が思い浮かべるのは、子どもの頃に読んだ白戸三平のマンガ「猿飛サスケ」の一場面です。サスケのお父さん飛猿は優秀な忍者ですが、あるときなんらかのケガを負い、両目が見えなくなりました。そこに四方八方から刺客の魔の手が!

万事休す!そこで彼が咄嗟にとった行動は、自らの腕に刀を当てたのです。血が1滴2滴と地面にしたたり落ちる、そのポタッポタッという音に全神経を集中させて数えると、彼は自己催眠による超集中状態となり、襲いかかる敵をバッタバッタと切り捨て…。この自己催眠は、瞑想の極限の形だと思います。

そこまで極限の形でない瞑想状態は、誰でも経験していると思います。例えば、目覚めているけど眠っているような、トロトロと気持ちの良い状態。副交感神経がよく働いて、身体全体がリラックスし、心がとても静かで、頭はスッキリとしている状態。

これを、偶然そうなるのでなく、自分で意識して作れるようになることが瞑想をする目的ですね。私の場合、高いものを求めてというより、何かとストレスフルなこの状況が苦しくて、何とかしたい思いで、瞑想に取り組むことにしました。

朝の時間の確保

瞑想に取り組みたいと何年も思っていて、今までなぜできなかったのか?その理由の第1は、時間がとれないからです。

主婦業のある女性にとって朝の家事は結構やることがたくさんあります。その家事を終えると、ほとんど息をつかずに「午前中のうちにやっておかねば」と気になっている仕事に突入。そのまま1日が流れていってしまい、瞑想などすっ飛んでしまいます。

そばに家族がいたら、瞑想はできないので、一人で集中できる時間と場所を確保する必要があります。

そうすると、自ずと、1日の中で瞑想のできる時間帯が決まってきてしまいます。時間は10分でも、20分でも「できる範囲で」と考え、そして「この時間は私にとってかけがえのないもの」と心に決めて、ルーティン化しました。

私の場合、夫を会社に送り出し、朝の家事が一区切りする、朝の8時半と9時にスマホの目覚ましをかけて、その間10~20分行う(その日の予定に応じて)と決めました。こうして、まず第一関門の「時間の問題」をクリア。

二つ目の関門は、やり方が分からないということです。正座して目を閉じても、雑念が次々にわいてくる。効果が分からないので、全然楽しくなく、これまで続きませんでした。

腹式(丹田)呼吸で副交感神経によく働いてもらう

今や瞑想に関する本はたくさん出ていて、どれがよいのか迷ってしまいます。何となく神秘的ないかがわしさも伴うので、信頼できる出版社のものを一つ選んで、その本のメソッドを試してみるのが第一歩ではないでしょうか。

私がたまたまAmazonで見つけたのは『おにぎりは30分かけて食べなさい』という、ユニークなタイトルの本でした。著者の本田ゆみさんは、アスリートやビジネスマンの能力開発のための瞑想法を開発されている方のようです。

本田さんは、人の脳にはパターンがあるので、そのパターンに合ったやり方があるとおっしゃっています。その詳細を知りたい方は本書を読んでいただくとして、実際に自分でやってみて、瞑想に入る準備のキモは、呼吸法であると思いました。

丹田呼吸、分かりやすく言うと、腹式呼吸をすること。丹田というのは、おへその下5~7cmのところを指します。そこが、息を吸ったときに膨らみ、吐いたときにへこむという呼吸法が丹田呼吸です。

忙しい現代社会を生きる私達は、たいて息が浅く、胸で息をしています。そして腹や丹田は緊張して硬くなっていることが多いのです。しかし、リラックスして休んでいるときは、息を吸うと自然と腹が膨らみます。このリラックスした(副交感神経優位の)状態を、呼吸法から意識的に作り出していくわけです。

やり方はまず、息を吐いて吐いて吐ききること。こうすると、自然に腹がへこみます。次の瞬間、肺に大きく息が入り、横隔膜を下に押し下げるので、腹が膨らみます。これを何度か行うことで、深い腹式呼吸へとつながり、瞑想へと誘導する、という仕組みです。

私が知っている野口整体の活元運動(無意識の運動で身体の自然治癒力を引き出す、いわば動く瞑想)でも、その準備体操として、みぞおちに手を当て、息を吐きながら身体を前に倒して吐ききる、というやり方をします。瞑想への誘導において、息を吐きながら上体を前に倒す、という方法論は同じなのですね。

習慣化したらオリジナルなやり方を試す

瞑想の間は、何かに集中していないと、雑念がわいてきます。そこで何に集中するかですが、本田るみさんの本によると、「聞こえてくる音に集中するとよい」とありました。しかし、習慣化できるようになったところで、自分にとって最も関心のあるテーマ、呼吸に集中することにしました。

とにかくシンプルに、楽しんでやれないとつづきません。そこで、鳥のさえずりのCDをかけて、森林の中で瞑想していると,想像力をふくらませました。タイマーが鳴っても止めたくないと思うほど、気持ちの良さが続いたので、これでOK。

瞑想を行うようになって、歯の痛みが軽減し、血圧が下がりました。かつてやりたいと思ってできなかったことを、今毎日続けていることが愉しいです。

日本舞踊を踊ることと瞑想

さて、私のHPのトップページでは、「日本舞踊を踊ることが瞑想にも通じる」という趣旨のことを書きました。これは決して出まかせではありません。

日本舞踊のお稽古では、長唄、常磐津、清元といった江戸時代からつづく邦楽を、昭和の名演奏家による音源を繰り返し繰り返し、聞きながら踊るわけです。

レコードができる前は、お師匠さんが自分で三味線を弾いて唄ってお稽古をしていた時代があったそうです。それがレコード、テープを使うようになって、超一流の演奏家を録音したものになったのは戦後のことです。超一流の身体による深い呼吸から生み出された唄であり、演奏であり、間合いですから、それを繰り返し聞けば聞くほど、その深い呼吸が自分の中に入っていくように感じます。

おそらくそれが瞑想のような効果をもたらしているのではないか、と思うのです。

ただ実際のお稽古が瞑想とは遠いものになってしまうのは、「振りを覚えなければいけない」とか、お師匠さんにいろいろ注意されて「うまく踊らなければ」という意識が強く働くことが多いからだと思います。

うまく踊ろうと思えば思うほど、間違えてしまうものですよね。お師匠さんに注意されたら、1回深呼吸して、瞑想を思い出しながら踊ってみたら、何かが変わってくるかもしれないと思うこの頃です。


最後までお読みいただきありがとうございます。

日本舞踊やってみたい!と思われた方は、ぜひ無料体験レッスンにお越しください。

>>詳細はこちらをクリック