越後獅子をピアノで弾くと~福島ゆきさんの「ピアノで綴る日本の調べ」コンサートより

私の知り合いの音楽家の方で、40年近くにわたって、日本の曲をピアノ曲に編曲して海外に紹介されてきた方がいらっしゃいます。

福島ゆきさん。東京都狛江市在住。今年6月、同市で無観客の「感謝のファイナルコンサート~ピアノで綴る日本の調べ」を開きました。

YouTube配信された演奏会の冒頭は「越後獅子」でした。日本舞踊に取り組む私達にとってはポピュラー中のポピュラー、名曲中の名曲の長唄ですので、ぜひ多くの方に聞いて頂きたいと思い、福島さんの許可をいただいて、ご紹介します。

舞踊では最後のさらしを振るクライマックスの2分のみですが、ピアノによる力強い演奏をご堪能ください。

福島ゆきさん

面々と受け継がれてきた日本の音楽を伝えたい

越後獅子は、江戸時代の1811年に、三代目坂東三津五郎と三代目中村歌右衛門の新作の競い合いの中でできた「変化舞踊」の中にあり、わずか1日でできたというエピソードが残っています。ビックリしますね。

福島さんは、リサイタル「日本の調べ」に組み入れようと、1986年に編曲されました。ベルリンで行われたコンサートでは、演奏と合わせて、花柳流の舞踊家の方が踊りも披露されたそうです。

今回の演奏会は、福島さんが今年70歳の古希になったことを機会に、最後のリサイタルとして、2020年の今年6月6日に予定していました。

ところが、新型コロナの影響で中止。

「最後と覚悟していたので、延期せずもうやらない」と思っていたら、いろいろな方々の協力があって、6月19日に無観客で実施し収録。YouTube配信が実現し、CDも作ってしまったそうです。“もうやらない覚悟だったのに、まさかこんな形で残るとは”と感慨深げにお話しされていました。

「コロナ渦という予想外の事態となり、このような時だからこそ、古来から面々と受け継がれ、さらに西洋音楽を取り入れ親しまれてきた日本の音楽の特有の底力を、私なりに届けたいと強く思うに至った」(CD盤の解説より)とあります。

花嫁衣装の打ち掛けをリメイクしたドレス

今回の演奏会は、演奏と福島さんの解説コメント含めて約1時間。越後獅子の他、次のような曲もあります。(時間は、その曲が始まるおおよそ目安時間です)

第1部 春の調べ

越後獅子(0分~) 春の海(4分~) 待ちぼうけ(12分~) 左手のための「荒城の月」(18分50秒) 幻想曲「さくらさくら」(24分20秒~)

第2部 秋の調べ

ファンタジー「越天楽」(30分~) ふるさと(35分) 中国地方の子守歌(39分~) 浦島太郎の主題による変奏曲(42分40秒~)

アンコール:アルハンブラの思い出(52分30秒~)

雅楽「越天楽」のピアノ編曲も初めて聞きました。「こういうこともできるんだぁ」とただただビックリでした。アンコール曲として用意された「アルハンブラの思い出」は、とても心静まる演奏です。

もう一つ、着ていらっしゃるドレスにも注目!きものを切って作ったものです。なんと花嫁衣装の打ち掛けなのだそうです。YouTube最後の5分(58分50秒~)は、その衣装にまつわるエピソードが語られています。

それでは、ゆっくりご視聴ください。


最後までお読みいただきありがとうございます。

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