踊りであり芝居でもあるから面白い  おさらい会には祖父や祖母も

お稽古歴2年半 しいなさん(20代前半)

【プロフィール】大学卒業後、会社員を経て、役者を目指す。芸能事務所所属。高校・大学でヒップホップ、チアリーディング選手として活躍。日舞お稽古歴2年(取材時)。

 

三乃智 しいなさんは、なぜ日舞を習おうと思ったのですか?

しいな 幼稚園の時からバレエ、高校・大学ではヒップホップ、チアリーディングをやってきたのですが、日舞はあこがれでした。日舞は、祖父母にも見てもらって自慢できると思いました。

 

三乃智 それで、おさらい会のときに、お祖母様、お祖父様が、見にこられたのですね。

しいな 着物や歌舞伎に興味をもっているんだと話すと、祖父母は喜びます。祖母も、若いときに日本舞踊をやりたかったみたいです。

 

三乃智 しいなさんにとっては、他のダンスと比べていかがですか?

しいな 踊りでもあり、お芝居でもあるというのが、今まで習ったどんなダンスとも違うと思いました。

十代目のお家元(坂東三津五郎)の本の中に、長い踊りは、起承転結があって、ある部分は派手に見せるけれど、ある部分は少し抜いて踊るなど、見る人を飽きさせないようにということが書いてあって、そういうことなのか!と思いました。

 

三乃智 そうですね。日舞は、歌舞伎からきていますので、お芝居の要素が結構入っています。

しいな あとは、唄の歌詞が振りになっているところですね。

 

三乃智 はい、日舞の振りは唄の言葉どおりです。パントマイムや手話に近い感じかもしれません。

 しいなさんは現在、月4回お稽古に通ってこられます。最初は月2回でした。お仕事との両立はどうですか?

しいな  私にとっては、月2回より月4回の方が、生活の中でペースが出来て、よかったです。家で必ず復習する時間をとっているのですが、月2回の方が、思い出すために家でお稽古する時間が長くなってしまいます。月2でも月4でも、生活の中で日本舞踊に費やす時間は変わらないなと思って、4回の方がむしろ楽です。

 

三乃智 しいなさんの生活の中で、お稽古のリズムができてきたわけですね。

しいな 前のお稽古で習ったことを忘れず、常に次の段階に進みたいので、最初のうちは着物を着て、動画を活用したり、ガッツリ復習していましたが、今では、洋服でパパッと部分的に練習するだけのこともあります。スキマ時間ができたときに、ちょこっとだけやってみたり…。

 

三乃智 それは良いアイデアだと思います。しいなさんにとって、今、日本舞踊はどういう存在ですか?

しいな 江戸時代の人の体の使い方が残っているというのが、すごいと思っています。

 

三乃智 本当にそうですね。もう江戸時代の生活は何も残っていないのに、歌舞伎と日本舞踊に残っています。例えば、船頭さんが船をこぐ動作や花魁が歩く姿も、踊りの振りとして究極のかっこいい形で残っているわけです。

しいな 日本人なので、日舞で表現しようとしていること、例えば女方の色っぽさみたいなものは見て分かるんですが、いざ自分がやろうと思うと、自分にはないものなのでなかなかできないなと思っています。でも、難しいことに挑戦するのも、私は楽しいです。

日本舞踊で習ったことは、演じるという仕事の中で自分の幅を作ることはもちろん、生活上の所作にも反映できるんじゃないかと思っていて、色々な趣味の中でも、生活と人生に応用できる範囲が広くて、日舞を習うことはとても意義があることだと思っています。

 

三乃智 ありがとうございました。