2. 時代を超えて変わらないものをリスペクトする
変わるものと変わらないもの
言うまでもないことですが、社会で生きていくためには、時代の流れに乗る必要があります。私も現役でサラリーマンをしていた時は、時代の先端を読むことに必死でした。
技術革新と世の中の流れは、ますます速くなっているように感じます。その流れについていくのはけっして優しいことではありません。
時代が変わっても、変わらないものがあります。例えば、山里などの自然、神社やお寺など――そういうものに接したとき、私達はホッとした感じや懐かしい感覚を得ます。それは、自分の根っこに帰る感じ、自分が守られているという感覚と言い換えられるかもしれません。
変わりゆく時代に、変わらないものを維持するのは大変です。自然豊かな地には、開発の名の下に人工物が建造され、豊かな自然が破壊された例は枚挙にいとまがありません。歴史的な物も、時代遅れで古くさい無価値なものとみなされ、ゴミとして捨てられてしまうことがあります。
それでも、変わらないものを残す努力をしてきた人達のおかげで、時代を超えて残っているものがあります。
「伝統」とは、そういう努力によって残ってきたものではないかといます。
私達が伝統芸能や伝統文化のお稽古事をするということは、自分の中に小さな文化遺産を育てることでもあると思うのです。時代を超えて変わらないものを大切に思い、次の世代に渡していけるといいな、というのが私の考えです。
コミュニケーションとSNS
私は教室の生徒さん達とのコミュニケーションに公式LINEを使っています。
今の時代、SNSは必須です。ですが、私は、SNSはコミュニケーション手段としては、とても不十分なものであると思っています。
それは、発信者からの一方通行であって、双方向ではないからです。
インターネットの発達によって、人と人は、1)会って話す、2)電話で話す、3)手紙のやりとりをする――の他に、4)メール、4)SNS 5)テレビ会議(ビデオ通話)――と色々な方法でコミュニケーションができるようになりました。
SNSやメールの便利なところは、時間を問わずに送受信できることです。
しかし、メールやSNSの欠点は、言葉によるやりとりでしかないことです。その言葉の背景にある意味や込められた気持ちなど、正確に伝わらないことが多くあります(そのため誤解や炎上が多々おこります)。
例えば、電話で直接やりとりした方が、速く、正確に伝わるというごく当たり前のことを、多くの人は忘れてしまったかのようです。最近は、電話のかけられない人が増えましたし、電話をかけると迷惑になる、と思う人もいるようです。
電話であれば、直接話すことで誤解を修正できますし、声色などノンバーバルな(言葉によらない)情報で感じ取ることができます。会って話せば、表情などでさらにコミュニケーションは深まります。
人と人がお互いを尊重したコミュニケーションをとるのには、きちんと会って話をする以上の手段はない――それは昔も今も変わらないように思います。(仕事ができる方は、SNSに頼りすぎることなく、すべての手段をTPOに応じて使い分けていらっしゃいますね)。
当教室では、SNSやメールも使っています。一方、この世界特有のコミュニケーション手段ともいうべき、ご祝儀や中元・歳暮といった、現代において「面倒」と思われる慣習を特に強制はしていません。
当教室では、失礼のないコミュニケーションを大事にしたいと思っています。つまり「大事なこと」をLINEですませない。面倒でも「大事なこと」は会って話すか、電話でお話しする。SNSは、時に礼を失することがあるというわきまえを、最低限のマナーとしてお伝えしたいと思います。
「教室で大事にしている三つのこと」ほかの二つも読んでみる
1.美しい所作の土台になる身体の使い方を学ぶ 3. 感性と知性の調和ーー感じる力を養う
日本舞踊やってみたい!と思われた方は、ぜひ体験レッスンにお越しください。