3. 感性と知性の調和ーー感じる力を養う

唄の歌詞をフリで表す

日本舞踊の特徴は、唄の歌詞にそって振り付け(フリ)がついていることです。
もともと歌舞伎から来ているので、お芝居が入っていることも多いのです。
 
ですので、フリの一つ一つに意味があります。そのため当教室では、一つの演目を習う最初に、唄の歌詞とその演目のテーマや歴史的な背景を紹介します。その演目を踊る心をつかんでいただくためです。
 
日本舞踊のフリを覚えるのはなかなか大変ですが、歌詞を覚えると、フリはその歌詞にそえばいいので、フリを覚えやすくなります。
 
古典の場合、言葉は江戸時代や明治時代で100年以上の前のものですからなかなか難しいと思われるかもしれませんが、例えば、男女の逢瀬を花鳥風月にたとえる、親子の愛を動物の物語にするなど、美しい言葉で磨き上げられていることが多いと感じます。
 

今ほど情報があふれていなかった時代、人々は言葉を大切にしていました。心や感情を表す言葉、美しい情景を表す言葉。悲しみや憤り、それをつきぬけたおかしさ、かっこよさ。かけことばで遊んだり…。
 
もちろん昔は医療や心理学などありませんから、人々をいやしたり元気づけたりする言葉の力を、今以上に大事に考えていたと思います。
 
日本舞踊は、そうした美しい言葉をシャワーのように浴びながら、身体による所作で表すので、お稽古を継続していくと、その心地よさをどんどん深く味わえるようになっていきます。
 
私達が心地良いと思うのは、昔の人の「美しい」「幸せである」と感じることを、踊りながら体で感じているからなのでしょう。そしてそれは、数百年の時を超えても変わらない、普遍的なものだということを感じるのです。

直観を養う

現代は高度に発達した情報化社会です。毎日毎日、目で情報をたくさん見て、それらを頭の中で取捨選択して生きています。私達現代人は知らず知らず、身体を使わずに、頭だけを酷使して生きているように感じます。そういう、頭でっかちな、生物として生きていく上でのアンバランスをどこかで感じているのかもしれません。
 
その行き着く先として、AI(人工知能)という先端の技術の発達による不安があるのかもしれません。
AIができないけれど、人間ができること、それは生物としての身体をもっていて、その身体で感じることができるということ。脳の奥深くに行われている、いわゆる直観です。
 
何か壮大なお話のようですが、日舞のような伝統芸能をお稽古することは、そうした直観を養うことにも通じるのではないかと思っています。
例えば、この情報はうそくさいな、と感じ取れるとか。
 
伝統芸能は、人として生きる普遍的な原理みたいなものを伝えていますので、何百年も生き残ってきたのでしょう。
 
私達は何十年という人生の中で、何度も辛いときや苦しいときに直面するわけですが、人生の岐路にあたって何らかの選択をしなければならないときに、将来幸せになれる選択ができるためには、情報データを処理できる能力にプラスして、かけがえのない「あなた」という人間の身体とむすびついた直観が大切であると思います。
 
その一助となるために、現代において伝統文化をお稽古する意味があると思うのです。

「教室で大事にしている三つのこと」ほかの二つも読んでみる

1.美しい所作の土台になる身体の使い方を学ぶ

2. 時代を超えて変わらないものをリスペクトする
 

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